そもそものそもそも

いつまで続けられるだろうねえ

第一部完!

散々書いてきた、無意味と空虚の問題。生に意味がなく、全ての行動は客観的な価値を持たない。極限の空虚こそ人生であり、その中で人は主観的に価値をつけていく。例えそれが幻想であっても、自分の目には「そう見える」。なら、それでいい。そうとしか見えないなら、自分の目には真実の美しさとしか映らないなら、幻想でも構わない。

 すっげえ適当な要約である。これを読めば一年近く続けたブログの全容が掴めます(内容が薄すぎでは?)。今回潮らしく要約したのは、じゃあなにを俺は言いたいのか? ということをふと考えたからだ。ざっくばらんながらもそれっぽく語り続け、結局のところ?というわけだ。形式上散発的に記事を書いてきたため、思考のまとまりに欠いている(ブログというのは散文的なものであるのだから本来気にする必要もないのだが)のがむかつくのだ。小休止であり、縮約であり、結びであり、新たな問いの始まりである。

 上記の要約の通り、客観的に見た世界は空っぽだ。当然である。目の前にあるものの価値は自分がつける。コップ一つとっても、「コップを意味付ける人物」がいなければコップと名指せないし、容器という機能もないし、ただ鎮座するのみなのだ。なんの情報を持たない空っぽのXでしかない。我々がいることでXはコップになり、僕はそれにコーラを注ぐ。空っぽなのはものだけでなく行動もだ。さりげない気遣いも、絶え間ない共感も、嫉妬も、暴力も、なんの意味をなさない。ただ行われただけだ。人が滅びようと、客観的な世界ではなにも影響ない。問題だと思う主体がいないのだから。人が孤独を嫌うのは、自分を価値付けてくれなくなるからだ。自分で自分に価値をつけることもできるが、あまりに難しい。

 空っぽな世界だから、人は価値をつける。これは嫌いで、これは好き。やりたくないことと、したいこと。それを決める基準は世界が空っぽである以上、完全に自分本位だ。そうであるから、コミュニケーションは難しい。他者の価値観と自分の価値観を擦り合わせなければいけない。他者に合わせすぎると楽しくない。自分の価値観で話すと理解されない上、相手からするとその話をする相手が自分である必要を感じない。自分の持っている価値観は、絶対に理解されない。なぜなら、自分で勝手に決めた価値だから。だけど、人間の持ち物とはそれしかないのだ。自分で決めた好きと嫌いをなくしたら、それこそ空っぽでしかないから。幻想だとしても、幻想だけが人を前に進ませるものだから。

 ここまで書いて僕はふと立ち止まる。じゃあなにがあるのか? 無意味で、好きなものも幻想である。虚無と見せかけで打ち立てられた現実の中、最後に残るのは「感じる」ということだろう。如何に空虚だろうと、彩るものが幻想だとしても、我々は「感じる」のだ。楽しいと思い、悲しいと思い、素晴らしいと思うとか、そんなことではない。言葉にできない意識体験があるだろう。言葉で伝えることなど到底できない豊かな情緒的な刺激があるだろう。なにもなくても、やっぱり楽しいものは良く感じるのだし、つまらないものは悪く感じるだろう。人はそうやって価値を決めていく。作り上げたものが幻想でも、感覚の中ではやはりリアルだ。「そう感じる」ことだけはどこまでいっても真実なのだから。価値は幻想でも、エモーションは人に伝えられないだけでたしかにある。世界などつまらない。なんの価値もないから。だが自分は面白い。こんなに豊かに「感じる」のだから! 人間は人間であることをもっと誇っていい。「溢れんばかりの受け皿」なのだから。「感じることができる」ことこそ、人間唯一の持ち物だ。より文学的に言うなら「感じざるを得ない自分」こそ、人間が本当に大事にすべきものだ。だから僕は利己的であることを肯定する。「感じること」以外に、自分にとって正しいことなどありえないのだから。感覚に全てを捧げることが人生の本質であり、感覚とは現在にしかない以上切れ目のない刹那の連続なのであり、ゆえに刹那に対して僕らは全身全霊で望む。いくらだって途方にくれ、生きることの空虚が頭をよぎる。だが、生の中にしか感覚は存在しない。人が自殺してはいけないのは、感覚を失うからだ。

 豊かの感覚のために、空虚な生を進んでいく。人生の持つ最大の矛盾は、ここだ。僕は感覚を賛美するから、生き続けていたい。どれほど苦痛になろうと、全く違って全く素晴らしいエモーションを見つけたい。そのために一生を費やしていきたい。いや、一生では足りない。本当は無限に生きたい。無際限に供給される感覚をいつまでも楽しみたい。僕は、人間で良かったと心から思う。だから、あなたにも自由に生きてほしいと願うのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一部完! 一つの幕が終わりましたよ!

今まで読んでくれた人はありがとう。ちょっとだけ配慮していつもよりスペースを空けてみた。