そもそものそもそも

いつまで続けられるだろうねえ

常識VS主観のデスマッチ

久しぶり。相変わらずの月2ペースだよ!

 

今回の議題は「理不尽」です! 明るい調子の割に歪んだテーマだが、まあいい、いつものことだ。

まず、理不尽に感じる時はどういうときだろう。これは理不尽だろうか。

「最近髪切ったんだ」「そうなんだ! じゃあ死ね!」

どう考えても理不尽だろう。髪を切る→であるが故に死ぬべきというのは意味が分からない。が、ほんとにそうだろうか。この死ねと言ったB君が、幼少期の頃髪を切るたび親に「あんたは死ぬべきなのよ……!」と言われながら半殺しに遭っていたら「髪を切った奴は死ななければならない」と学習する可能性は大いにあり得る。ぱっと見馬鹿話っぽいが、家庭独自の風習とはいくらでもあるし、(僕が知っているケースだと、親にめんつゆを醤油だと教え込まされていた奴がいる。彼にとってめんつゆとはなんだったんだろう)本人にしか分からないこだわりとは、大なり小なり誰でも持っているだろう。だから他者とは常に理不尽であるか、理解できなくて当然なのだから全く理不尽ではない。ただ、われわれの世界には常識と言葉がある。もちろん常識とは何か、そもそも存在するのか、という問いはある。断言しよう。常識はある。しかし、この世を包括するスケールではない。様々なコミュニティで、様々な常識があり、因習があり、ドグマがある。常識を嫌う人は多いが、集団内で常識がないことはありえない。常識を嫌うものたちが集まったら、新しい常識が作られるだけだ(暴走族とかギャルサーとかそうじゃん)。共有されたルールを持ちたくなければ、孤独になるしかない。だから、本来ルールが嫌いな人は一握りしかいない。「自分の思う常識じゃない」だけで、みんな常識やルールが好きなのだ。「理不尽」を踏まえた上で言うなら、「常識が嫌いな人は自分にとって『理不尽』な常識が嫌い」なだけだ。そうであるから理不尽は客観的なようで主観的なのだ。それは「誰からしても意味が分からない」ことなのではなく「自分からしたら意味が分からない」だけなのだから。だが、他者とは本質的に「他者はどの他者からしても意味が分からない」存在なのだ。だってその人の価値観なんて理解できないだろう。僕が毎週朝マックでマフィンを食べている理由を説明してほしい。僕も出来ない。マフィンを食べる理由は誰にも分からないが、「なんとなく常識的に考えてマフィン食べる理由はこうだろう」的な基準はある。いわゆる「普通に(常識的に)考えて」という奴だ。僕はこういう考えを馬鹿にする気も否定する気もない。「あいつらはなにも考えず常識に流されてる」とのたまう奴がいたとして、じゃあそいつは何を考えているのか? 「常識に流されないで自分で考えて生きる」とはなにか? 常識が外れたもの同士が集まったとして、本当に一切の常識がない集団を作り得るのか? 常識の何が悪いのか? なにも考えないことのなにが悪いのか? これらの問いに答えられるのだろうか。結局は主観なのだ。「俺には常識が悪く見える」という「自分ルール」を、さも真理であるかのように語るだけだ。それでも、間主観的な視点から「当たり前』が生まれ、理不尽が生まれる。まとめよう。我々は極限まで主観的で、誰にも理解されない上、誰も理解できない。だから、理不尽で当然であるのだ。だがこの世には「常識」があり、「自分ルール」がある。そこに沿っていれば理不尽じゃないし、沿っていなければ理不尽だという風に決めつけるのが、人間の「理不尽」なところだし、こうやって決めつける僕も「理不尽」だ。

 だから、僕が前に「いろいろな人がいることを自覚する」のが大事だと言ったのだ。「お前は誰も理解できないし、誰からも理解されないから、自分のルールを他人に当てこんでも意味がない。そもそも自分と同じルールを持っている奴が誰もいなくて、色んなルールがあることを知るべき」ということだ。しかし、人は悲しい生き物だ。別にルールが違っていて当然なのに他者にドン引きされ、「ありえない」と言われる。でも、みんなと同じルールを持っていてもつまらないのも確かだ。それは「常識に流される奴は〜」という意味ではない。純粋にただつまらないという、僕のごく個人的な主観だ。僕の母親が「狂ってない奴はつまらないよ」と言っていたのを思い出す(お前が狂ってるよ!)。そう、狂ってる奴は面白い。尖ったルール、歪んだ見え方は、僕の感覚を刺激し、捉えてけして離さない。アルフレッド•ジャリ「超男性」は、意味がわかなすぎて笑えるし、電撃的だ。スティーブ•ライヒの病的な反復と響きは一生聴いていたくなる魔力がある。だから僕は異端者が好きなのだ。色んなルールがある中の、その極北。あれこそが僕にとっては「希望」だ。人間はここまで出来るということを示してくれる。常識やルールを肯定も否定もしない。ただ、端から異形のルールを持ち込み、困惑させ、苦笑させ、虜にさせてくれる。

 

終わり。久々に文章を書いた……。