そもそものそもそも

いつまで続けられるだろうねえ

病は気から、気は病より、というわけでリッスントゥミュージック

インフルだ! 3年ぶりくらいかな? 僕は一年に一回は風邪とかで寝込んでしまうが、去年はそれがなかった…… と思ったときにこれだ。こいつは参った! 今週の土日に実家帰ろうと思ったら怪しくなっちゃったし、被害は甚大だ。

 発症から5日ほど経過してほぼ回復したが、あまり無茶はしたくない。というわけで友達がブログでやっていた「シャッフル再生しながら関係あることないこと好きに語る」のをやってみようと思う。手抜きじゃないぞ、こっちは真剣だぞ。

 

joep beving「the gift」

去年購入したアルバムの収録曲。ジャンルで言えばポストクラシックらしいが、ピアノソロなのでいまいちどう「ポスト」なのかわからん。耽美的で美学的だが、映画音楽っぽい大げさな感じもあるので分かりやすい。ポスクラの方々は映画音楽作ってる人多い印象あるし、その辺の影響があるのか?

 

U2「ultraviolet」

大学時代によく聴いていた。そのとき出来の悪いU2の評論を書いたが、こいつを絶賛していた記憶がある。今でも普通に良いと思うがね。しかしまあ、U2の強烈な郷愁漂うサウンドを前に過去を振り返ると、過去の何もかもが遠く離れていったように感じられなくもない…… そうやって強くもならなければ、痛みを超えても行かない。ただ、過ぎ去って、流れ去るだけ。過ぎ去る間に得られるかは、自分次第。それくらいに捉えたほうが、シンプルだしドライでいいんじゃなかろうか?

 

アナログフィッシュハーメルン

これまた大学時代。この頃が一番聴いているから当たり前だが、このバンドは作詞をした人がボーカルを担当するスタイルで、このことからビートルズとの関連を調べていた論文がネットにあったけど面白かった。ひと昔前のサブカル女子必携だったらしいが、そういう感じの音楽性はしている。友達に貸したら「昔の姉貴が腐るほど聴いてた」みたいな感想が来て、なにか申し訳ない気持ちになった。

 

rage against the machine「know your enemy」

病み上がりかも怪しい時に重低音はきついです。中学の時に大層衝撃を受けた、未だにミクスチャーでは僕の中で最強格のバンド。ユナイテッド・キングダムの感傷性を全て吹き飛ばすような爆弾である。表現において多様性は何よりも重要ではあるが、そんなしみったれた音楽聴いてないでヘドバンしようぜ! と言われればこちらは何もできなくなるのも確かである。

 

pendulum 「propane nightmares」

みんな大好きペンデュラム。構成がどうこう、展開がどうこう言う前に、かっこいいからいいか、となる音楽である。今聞くとボーカルのメロディとかは凄い良いな。ヒップホップのパンチラインとかもいいの書けそう。しかし、厨二である。プロディジーがプレステ1みたいな世界観だとしたらペンデュラムはプレステ2的な世界観を感じる。

 

duku ellington「moon indigo」

突然のエリントン。良いとは思うんだが、現代でもなお傑出してるかといわれると疑問ではある。やり過ぎなほど素晴らしくムーディーだが、ムードという単語と僕は無縁なのであまり聴きたい機会はなかったりする。部屋でしゃべるときの音楽をかけると友達に苦情を言われやすいので、その辺のセンスがないらしい。

 

professor longhair「mardi gras in new orleans」

更に遡りニューオーリーンズ! 俺のウォークマンも渋い奴だ。これはこれでいいのだが、普段から聴いてる人はかなりイカれてるだろう。彼のためにタイムマシンを作ってやろうか。

 

初音ミク「monochrome giri」

現代に戻ってきたよ! 初音ミクの切ない声は妙に心に響くのだが、「中の人」の声が優秀なのか、メーカーの努力なのか、作曲者の調教の賜物なのか判断しにくい。しかし、バーチャルアイドルとして世界的に活躍している以上、「凡庸な歌い手」よりは遥かに実力のある「歌手」ではあるんだろう。

 

nine inch nails「the wretched」

 ラストにふさわしいのでラストにしよう。インダストリアルメタルの名盤から。

 鬱病マックスのボーカルが完璧主義を極めた、二枚組二時間越えのくせに無駄がほとんどない恐ろしいアルバムである。鬱病の人間は精神的に正常な人間よりも客観的に物事をとらえられる傾向にあるらしいので、完璧な物を作りたいときには案外向いている状態なのかもしれない。

 というより精神的に正常な人間は思ったより客観的でない側面もあるようで、自分ではどうしようも出来ないことも操作可能だと思ったり、変な読みを加えたりするらしい。ある実験で、上か下かを当てるテストをした。上を示す可能性が70%、下を示す可能性が30%である。当然、上を予想し続けるのが期待値的に最も高いのだが、正常な人の大半が下も予想するときがあった。理由を聞くと「そろそろ下が来ると思ったから」だそうだ。逆に、鬱病の人は半数以上がひたすら上を予想し続けたらしい。(とある鬱の漫画で「客観的になったのに鬱になるんですか?」という問いに「世の中は冷静に見れば悲劇だらけなのかもしれない」と答えたのは個人的に印象深い)実際、主観性はポジティブな力で、客観性はネガティブな力という印象も受ける。偏り過ぎると危険なので、両方バランスよく上げていこう。

 で、この曲に移る。ボーカルの持つ強烈な文学性が作り上げる無二の世界観と、冷静に突き詰め切った構成、音響、各パートのアンサンブル。冷静な曲作りが世界観を確固にして、彼の文学性がただ完璧なだけのつまらないアルバムにしない。自分のどうしようもなさをぶちまけながらも、衝動に全く任せきらない、偉大なワークだ。次のアルバムは鬱が治ったためか明るい曲調になったが、これほどの出来ではない。なぜこのアルバムが最高傑作になったのか。鬱であることに必然性があったのか。鬱でなかったとしても最高傑作を作れたのか。わからない。それが分かったら苦労はしないのだ。

 

終わり、駄文だが、気晴らしをしたいときだってあるさ……